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私は毎日、鏡で顔をチェックしていたのだが、ある日ふと思いついて、鏡をテーブルにおいて上からのぞき込んでみた。
「これじゃ、まるでオバアサンじゃない!」鏡にうつったその顔。
まさかこんなにたるんでたなんて!実は恥ずかしながら、この方法で確認するまでは、単にやせているために頬がこけているのだと錯覚していた。
たるみというものは、シミやシワと異なり、三次元の問題のため案外気づきにくい。
鏡を至近距離で見ている場合はほとんどわからず、光の加減によっても顔の凹凸による陰の出方が異なるため、正面からではなかなかほんとうのたるみはわかりにくいのだ。
焦った私は、あお向けで寝た状態の顔も鏡にうつしてみた。
こうすると、たるみが下に落ちて目立たなくなるのだが、ふだんの顔と大きな差異を感じたらそれは「たるんでいる」証拠なのである。
そしてたしかに、あお向けになったときの顔は「昔の私の顔」だった。
さらに、数日後、現像した写真を見たとき、私の「これはダメだ!」という思う。
そんなとき、私の脳裏をよぎったのは、〃フェイスリフト〃だった。
「ねえねえ、私の顔ってすごくたるんでいるのよ!見て、見て!」「ええ?何言っているの?全然たるんでなんかいないよ」戸惑う同い年の友人を前に、私は自分の耳の横の皮層をグッと持ち上げてみた。
「ほら、全然ちがうでしょ?若いでしょ?こうやってね、昔の顔に戻ったらたるんでいるっていうことなんだって!」「そんなの、誰だってそうやったらある程度は変わるんじゃない?」「ちがうよ!私はたるんでいるんだって!たるんでいるって言ったらたるんでいるの。
」私は少々ヒステリックにそう友人の前で言い放った。
人がいくら自分の肉体的欠陥を気にするほどでないと言ってくれても、いくら平気だよとか言ってくれても、一度自分で自分はこうなんだ、ここが悪いと思い込んでしまうと、もうどうにもならない。
相手がその道のプロでもないかぎりダメだ。
そして心の中でひがみっぽくなった。
あなたには私の気持ちなんかわからないわよ。
だって、あなたはまだたるんでいないんだかその後もまるで日課のように鏡の前で耳の横の皮層を引っ張り上げては、この顔に戻れればと願う日々が続いた。
一度気になりだしたらもう止まらない。
気がつくと外出先のトイレでもいつのまにかそれをやってしまう哀しい自分がいた。
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